銀河英雄伝説『超』外伝:涼宮ハルヒの暴走

プレイヤー

  • おすぎ(HNこれでよかったでしょうか?):SOS団宇宙軍
  • えふてぃー(新入生1年):コンピ研連合軍

紹介

 これは、十年ほど前にツクダより発売されていた『銀河英雄伝説』シリーズのゲームシステムを元に、『涼宮ハルヒの憂鬱』劇中においてSOS団とコンピ研との間で対戦された『The Day of Sagittarius 3』をボードゲーム化した、同人ゲームです。A.G.C.メンバーに向けて敢えてハルヒについて語る必要はあまり感じない*1のでそれは割愛致します。
 ゲームはキャラ名の書かれたチットをランダムに引くことによってその指揮下の艦隊を活性化し、移動・戦闘を繰り返すことで進行します。また、艦隊を指揮する提督となる各キャラにはそれぞれに見合った攻撃能力・防御能力・艦隊指揮力・指揮範囲等の能力値が与えられています。例えば猪突猛進・勇猛果敢で鳴らすハルヒ閣下であれば、本ゲーム中最大の攻撃能力7を誇るものの、防御能力は3と頼りなく、艦隊指揮力6、指揮範囲6ヘクス(いわゆるマス目)とちまちました指揮は苦手なご様子。逆に安心と信頼のヒューマノイドインタフェース・長門有希の能力は、想像通り高水準にまとまっており(攻撃6・防御7・指揮9・範囲15)、SOS団宇宙軍の要となるでしょう。

I.布陣

 シナリオの指定に従い、SOS団宇宙軍から全艦隊を配置します。コンピ研連合の序盤における優位性を表すため、マップ上端から下端までの非常に広い宙域に配置できる彼らと比べ、SOS団はかなり狭い領域にユニット(コマのこと)を展開させなければなりません。
 SOS団は、中央に<ハルヒ☆閣下☆艦隊>を据え、両翼に<キョン艦隊>・<古泉くん艦隊>を配置、足手まといの<みくるちゃん艦隊>は後方にやり、<ユキ艦隊>は各所に分散させました。
 対するコンピ研は鶴翼の陣を選択、中央のハルヒに向かい合わせる形で部長氏艦隊をVの字に並べ、包囲環の腕となる左翼に部員A・部員C、右翼に部員B・部員Dを展開させました。
 だいたい原作通りの布陣です。両者共に攻撃能力7を有する中央部での激戦が予想されました。

II.前半戦

 まず行動を起こしたのはコンピ研でした。全10ターン中の最初の3ターンまでは『コンピ研の策略』がゲームを支配しているとして、SOS団側のチットを減らし、逆に自軍のために使えるオールマイティなチットを加えることで、彼らがイニシアチブを握るようになっています。
 鶴翼の陣を形成する三個艦隊が相互に連携を取りながら、着実に包囲網を作り上げていきます。一方、SOS団は初期配置時の不利を覆すために戦線を整理しました。
 そして、部長氏とハルヒの距離が十分に詰まった時、遂にハルヒのチットが引かれました。『突撃バ○』ルールによって、ハルヒ艦隊は最も近い敵への突撃を強要されます。移動を開始する前にキョンがチェックを行うことで突撃を思いとどまらせることもできますが、キョンは「おもしろそう」なので静観、ハルヒはのびのびと、かつ厳かに部長氏艦隊に突撃を敢行しました。
 さすがは最強ハルヒ、部長氏艦隊に各所で損害を与えたり、後退させたりします。ただし、ハルヒ艦隊の方もいくらか反撃を被り、三々五々に退却しました。以降、両軍の総司令官が相見えるこの中央戦区は、お互い決定打を与えられないまま、押し合いへし合いを続けることになります。
 SOS団から向かって右翼には、古泉艦隊といくつかのユキ艦隊ユニットが展開していました。チットが引けず、まだ戦線に綻びの見える古泉艦隊に部員A艦隊が襲い掛かります。ここを突破されればハルヒ艦隊の柔らかな脇腹を晒すことになるため、早急な防衛線の整備と、反撃体勢を整えることが重要になりました。
 他方、左翼を担当するキョン艦隊と部員B艦隊の対決は穏やかな幕開けを迎えました。キョン艦隊はひとり突出して隙をつくることを避け、敵の攻撃を受け流すことに専念します。部員B艦隊はそんな彼の堅実な用兵の前に幾度となく攻勢を頓挫させられました。
 行き場のないみくる艦隊は、これも特別ルールによって1d6してランダムに決めた方向に移動させなければならない、という迷走ぶり。それだけならまだしも、彼女が艦列にドン詰まりをつくってしまったせいで、退却先を失った古泉艦隊が消滅してしまったりしました。

III.後半戦

 『コンピ研の策略』が長門に看破され、逆に彼女がコズミックハックを仕掛け始めると、ゲームは後半戦に突入し、前半はコンピ研に傾いでいた戦いの流れが段々とSOS団に移っていきます。この頃になるとユキ艦隊のチット数は4になり(本ゲーム中最多にして比肩する者なし)、特殊チットを含めると1ターン中に最大6回行動が許されます。コンピ研最多チットの部長氏でも3回までであることを思うと、その凶悪ぶりが窺い知れます。
 しかし、そんな長門有希が各地で猛威を振るう前に、激戦の続く中央戦区にて重大な出来事が起こりました。
 退却先の不用意、戦力の漸減に起因するハルヒ(圧倒的な火力を発揮する突撃能力)・部長氏(執拗にハルヒ艦隊ユニットの側背を追い回す粘着プレイ)両艦隊の消耗が激しくなり、結果的にハルヒに対して士気チェックが求められたのです。各指揮官は、自艦隊が半減すると、それ以降ユニットを失う度に士気チェックを要求されます。それに失敗すると続いてメンタルチェックが求められ、キャラ毎の修整を加えてその艦隊がどのような行動(強行突撃、敗走、降伏など)を取るか決定しなければなりません(いずれのチェックも2d6)。
 そして運命のダイスは6。ハルヒのメンタル+4修整を加えると10、そしてメンタルチェック表を参照すると……結果は自決!
 ハルヒ的に読み替えると、「こんなのやってらんないわ!」とマウスを放り投げた感じでしょうか。閉鎖空間の発生が懸念されます。総司令官がいなくなってしまいましたが、せっかくなので続行することにしました。そしてここから、長門の獅子奮迅の活躍が始まったのです。
 右翼においてはいまひとつ不甲斐ない古泉艦隊に変わって半個艦隊ほどの戦力ながら部員A艦隊にこれでもかと痛打の連続を与えます。ながもんの脅威に直面した部員A艦隊は損害を吐き出しながら退却を重ね、ギリギリのところで艦列を整え反撃を行いますが軽くあしらわれ、更に圧力を加えられる。期待値を出せば耐えられるチェックに次々と失敗し、連鎖後退で続々と乱れていく戦線を見ていると、兵員たちの恐慌が見て取れるようでした。
 更にチット引きに関してもその魔性ぶりが現れました。引くチット引くチットに書かれる長門有希の文字……。あわや戦線の瓦解か、というところまでいきました。部長氏にその背面を狙われたときなど、相手に最悪の出目の6ゾロを出させ、我々に色んな安心感を見せ付けてくれました。

IV.決着

 最終的には時間切れ、ということで片付けに入りましたが、コンピ研にはまだ健全な一個艦隊が残っていたので、このまま続けるとおそらくSOS団に苦しい展開になったと思います。後半はまだしも、前半から中盤にかけてコンピ研プレイヤーのサイの目が良過ぎ、SOS団プレイヤーは悪過ぎたのがその原因です。ルールにも慣れたので、次こそは(あるのか?)と意気込む次第でございます。

*1:もはや一般教養レベルと言っても過言ではありますまい